HOME » Blog

イタリア ボローニャ便り16便 セコンドピアット フリット

   

 フリットとは、一般にイタリア語で揚げ物を指します。
 日本ではフライで、かなり発音も近いのです。カツレツは、コトレッタと言います。
 どうもポルトガル人が、鉄砲と一緒に天ぷらという名で日本に持って来たものです。
 諸説ありますが、衣を付けて油で揚げた一種の料理法ということで留めておきます。

 わが街ボローニャでも有名なボローニャ風カツレツがあります。
 イタリアでその対を成すのが、ミラノ風カツレツです。
 その本家と言い張るのはウィーン風カツレツ。
 どちらが本家かという議論は、両国の愛国者の間でやっていただくことにします。

 約400年前に日本へ伝わったコトレッタと、北イタリアでの大きな違いは、揚げ油です。
 つい半世紀前、北イタリア辺りの食用油はオリーブオイルでなく、バターが正統でした。
 私のお姑さんも、パスタにバターを溶かして食べ、よく料理に使っていました。
 もちろんオリーブの取れる地域は、地中海性気候とガールダ湖西岸の気候、文化が密接に
 関係しています。
 これには貧しい南イタリア人たちが、北の労働資源とするためオリーブオイルを携えて
 移民をした歴史的な背景もあります。
 またここで、北と南とはどこが境界線か!?という問題にぶつかります。
 イタリア人同士でも、はっきりとした○○度線は議論が分かれる所です。

 そこで今回は、ボローニャ風カツレツを紹介します。
 ボローニャは、周知のごとく食道楽の街です。
 先に紹介したミラノ風、ウィーン風など全てのカツレツの基本的要素を備えています。
 あらかじめスープで下味を調えた子牛の肉を、パン粉を付けてバターで揚げます。
 さらに大きめに切った生ハムとパルメザンチーズで挟み、オーブンでチーズがとろける
 まで加熱します。
 極めつけは、その上に地元で取れた白トリフをまき散らします。ハイ!出来上がり。
 肉の質と揚げ方を、職人の腕で競う我が国のトンカツ。
 天ぷらとはかなりかけ離れています。
 厳選されたシンプルな素材を、究極の技で昇華された我が国のトンカツ。
 原型に地元の特産物を加え、他のものへ変身してしまったボローニャ風。
 その日の気分によって、食べ分けられるくらい味に奥行きがあります。

 私の娘は向かいの席で、ぎこちない手つきでカツレツを食べています。
 これからどんな料理を作るようになるのか?それをどんな男性に食べさせてあげるのか?
 この夏より少し大きくなった娘の手元を眺めながら、
 遠い昔、食物の移民の育った土地の歴史が見えてきます。